「山賊ダイアリー」「百姓貴族」

暫定今年のベストマンガ。
若き現役猟師の実録マンガって
多分あんまりなかったと思う。

とにかく素敵なのは、
その徹底的な「現場目線」。
そもそも猟師の事を知らないって事もあるけど
そこで描かれる「現場の知恵」の数々が
メチャメチャおもしろい。
だって1ページ目ののっけから
「シカやウサギの糞は、新しいものなら食べられます」
なんだから。

「自分で殺して、自分で食べる」という、
野生動物ならごく当たり前の事実を
過剰に大げさな描写に走らず、
淡々とディテールを積み重ねて行く、
要はタイトでシンプル(でもだからこそ滋味深い)な
トーンで進む話運びもいい。

絵はあまり上手いってわけではないけど、
西原理恵子さんの名言
「絵がへたな人には、絵が下手なりのしょうぶがあるんやー!」
を地でいくような、たぶん名作になりそうな第一巻だった。

そうそう、カバーに書いている、
作者本人の言葉もいい。

「ぼくは田舎の生まれですが、
都会と比べて田舎が好きというわけではありません。
都会も大好きです。
しかし、せっかく田舎で暮らすのであれば、
東京と同じようにくらしていたのでは、
もったいないと思うんですよね」

こうやって自分で書いてみると更に沁みるな。
不器用な言葉選びだけに余計に色々グッとくる。

夏に出る2巻も楽しみだ。

2巻と言えば、待ちに待ったこの2巻も出る。

山賊ダイアリーと同形の、
田舎暮らしのイルドで、でもごくごく日常的な
動物の生と死のドラマに痺れる。
うまく言えないけど、
「ハガレン」の背骨になっている作品て気がする。

どちら作品も、
その淡々としていて生々しい描写が、
「それを体験した(している)人達」
の凄みを感じるんだよなー。
やっぱ現場主義だなーとつくづく思う。

音楽で現場主義と言えばライブだけど、
それを録音したライブ盤も大好物で、
最近はスタジオ録音盤より好きだったりする事も多い。
生な現場感により強く惹かれるのは、
自分が最近小説があまり読めなくなったのと関係あるかも、とか。

という事で自分が大好きなライブ盤を
CD棚の取りやすい所置いてあるものから淡々と

取りやすい所に置いてあるって事は、
確実によく聴いているわけで、
やっぱりベタなものが自分は好きなんだな。

ただi-tunesの再生回数で見てみると、
圧倒的にこれだった。

出来ない理由はなんとなくわかるようなわからないようなだけど
これは絶対再発すべきだと思う。
はっぴいえんどのライブ盤よりこっちのが好きだ。

ダラダラ書いていたら腹減って来たな。
「山賊ダイアリー」見てると肉が食べたくなるのも特徴かも。
カラス、食べてみたいなあ。


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とても些細で、他人にはきっと分からない、
でも自分にとっては大きな、大切な出来事。
一見なにも変わらないように見える中でのわずかな変化。
(変化の兆しで終わったりもするけど)。
幸福も不幸も等分に淡々と起こって、
そのどちらも終わる事がなく続く日常。
大きな世界とコミットする事も無く、
一日一日が過ぎ去ってしまって、本当にいいのかな?
と、ふと一瞬だけよぎる不安。

自分も含めて大半の人がそんな生活を送ってる。
「この毎日にとりあえず文句つける(フィッシュマンズ)」
ぐらいのテンション感で。
色々と騒々しいし、色々と大変な時代だって分かってるし、
本当に大変な人がたくさんいるってのも分かってる。
でも自分の生活は、まだ割と変わらずで…と…。

それって要は「普通」って事で、
それをとても繊細で丁寧で、とてもとても優しいまなざしを持って
そんな「普通」を描く事について、、
そういう「普通」の人の、小さな「普通」の生活を描く事について、
柴崎友香さんの右に出る人って、多分あんまりいないと思う。

個人的ナンバーワンはこれ(↓)

なんだけど、この新刊も素晴らしかった。
正直30台の女の人が読んだらもっと色々クるような気がする。

最近小難しい本を少しづつ少しづつ読んでいて、
興味があって読んでいるので苦ではないけど正直読書疲れする。
そんな合間にこういうのを読むと、やっぱり少しホッとする。

ホッとすると言えばこれも再発された。
凄い嬉しい。隠れた(てない)支持者がたくさんいる証拠で嬉しい。
残念ながら、これを好きだって言う人にはまだ直接会った事無いけど。

小学校の時に鴻上尚史さんのエッセイで知って、
今でもずっと大好きなマンガのひとつ。
いまだにコースケには憧れてるもんな。
だから収入が上がらないのかなーとかボンヤリ思ってるけど。
それはいいとして、この作者の眼差しが柴崎さんに似ている気がする。
とその裏側にある、この小さな世界を描く事への柔らかい執念と情熱と、
でもいつかそれも終わるのかも? という静かな諦観の間で揺れるなにか。
みたいなものを感じる所を。

あと世代間が違うのでリアリティは全くないけれど。
ある意味でこれも、大人の「普通(だった)」の生活のヒトコマの
多分今記録しなきゃ無くなってしまうだろうドキュメントかも。

本当にいい本。都築響一さんの仕事は本当にカッコいい。
柴崎さんや前川さんと違って、強い意志を隠そうとはしてないけど。

「政治とカネの巨大な圧力に逆らうことはできなくても、
せめて店が、街が消滅する前に通いつめることはできる。
役所もディベロッパーも、
僕らのまで消し去る事はできない」

ああ、なんてカッコいいんだろうか。
このフレーズがこの本に書かれているって事が、
なによりもカッコいいし、信頼尊敬出来る。

こういう凄い人の凄い仕事を見ると、
自分が割と早めに編集者への道を断念して正解だったと思う。

カッコいいと言えばこれも最高にカッコよかった。

この人たちはいつだってカッコいいんだけど、
今回のこれは特にグッと来た。
「一切語らずして熱く語る」感じというか。
凄く明確な意志を感じる。
kaminogeのインタビューをもう一度読み返そう。

でもって明日もまた普通に仕事だ。


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藤原カムイ「Roots」 サイプレス上野&東京ブロンクス「LEGEND OF 日本語ラップ伝説」

東京オリンピック前後に子供時代を過ごした
藤原カムイさん版の言うなれば「マンガ道」。
少年マンガ的見栄の効いた大ゴマは一切使わず、
極めてオーソドックスな小回りで、静かに、
かつとてつもなく豊かな情報量と、
おそらく漫画界屈指のガチな絵のうまさでもって、
その頃まだ生まれていない自分にも当時の豊かで、
希望に溢れていて、でも正直やっぱりショボイ
(でもだからこそ妄想力が磨かれる)昭和の男子カルチャーと、
今の作者形作った原点をを楽しく俯瞰出来る。
男の子はいつの時代もやっぱりバカだよなあと、楽しく再確認しつつ。。

原点と言えばこの本も楽しく読んだ。

もの凄く詳しい訳ではないけれど、
日本のヒップホップを聴くきっかけにするには最良の本だと思う。
情報やら解説は二の次で、
著者二人の原点を包み隠さず
熱い思いと深い愛情をを伴った語り口はやっぱりとっても素敵。
ジャンルに限らずこういう本は大好物だ。

ついでに自分が今の仕事に就いたきっかけは、
完全に90年代テクノだった。
同時代の渋谷系やらエアジャム系やらも全然聴いていて、
日本語ヒップホップだったらキミドリは何百回聴いても、
いまだに週1回は聴いてるぐらい好きだけど、
そのどれよりも原点と言えるのはテクノだった。
あの頃は毎日がお祭りだったなあ。
レコードは何を買っても最高。
パーティーも毎回がフレッシュだったなあと完全にオッサンの懐古モード。
かっこつけてデトロイトテクノ好きを公言してたけど。
実はUKテクノとジャーマントランスが大好きだった。

という事で以下自分を作った色々。懐かしすぎて泣けてくる。
実家帰ってアナログ取りにいこうかな。確かまだ1000枚ぐらいはあったはず。。

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最高の読書初め「計画と無計画のあいだ」「KAMINOGE」

厳密に言うと「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」なんだけど、
あれは去年をまたいだのでこれが読書初めにして、最高のスタートだった。
読んでこれだけ力を貰える本はなかなかない。
(ほんの少し悔しい気持ちを持ちつつ)

著者の三島さんは、書店業界では既に超有名になっている、
インディー系出版社ミシマ社の社長さん。
そのミシマ社の立ち上げ〜日々のドタバタについての本なのだけど、
この社長のミシマさんがとにかくカッコいい。
揺るぎない信念と、ユルユルなたたずまいの共存がカッコいい。
平易な言葉で綴られる「本」への愛がカッコいい。
決して理想論に流されず、妙な自己啓発的な雰囲気は一切なく、
現状を冷静に見据えながら、それでも前を向き続ける視線がカッコいい。
なによりちゃんと「結果」を出しているのがカッコいい。

少しだけ(長いけど)引用ーーー

ぼく自身は「出版」という世界に育てられた。
もっと言えば物心ついたときから本に育てられてきた。

その、自分を育ててくれた世界が、衰退の道を静かにくだっている。
そのことを知ってしまい、かつ、その世界の渦中に身を置く存在として、
それを無視しつづけることはできない。
もし無視しようとすれば、自分を鈍感にしないことには無理だし、
それは、少なからず編集という感覚を重視する仕事にも
影響を及ぼすことになるだろう。

結局は、「自分の目の前の仕事」と「自分の身の置く世界」とは、
切っても切り離せないのだ。

だからぼくは、編集という仕事をしっかりやっていくためにも、
同時並行的に、我が身をおく場所を少しでもよくしていく。

そうする事に決めた。つまり「こっち」でがんばろうと決意した。

(三島邦弘著『計画と無計画のあいだ「自由が丘のほがらかな出版社」の話』河出書房刊)

以上引用。

静かな言葉選びの中から立ち上る、熱い、誰よりも熱い決意表明。
現実を冷静に見据えた上で、自分の戦いをするというたたずまいは、
我ながらとっても陳腐だけど、涙が出てしまった。

出版業界で戦っている著者と同じく自分もそうだ。
小売りと制作という形で音楽に関わり、
ゲーム界にもほんの、気持ち程度だけど関わっている。
どれも大きな変革の大波に揺られている業界ばかりだ。
というか今って、多かれ少なかれどの業界もそうなのかもしれないけど。

ともあれ、
自分にはCDに変わる画期的なインフラを開発できる能力はビタイチない。
でも音楽を好きな気持ちでは他の誰にも負ける気が全くしないし、
(そういう人がたくさんいると思うけど…)
小売りという最前線で商品としての音楽を見続けている立ち位置にも
少なからず自負はある。
でも迷ってるし悩んでる。「もうダメかな」と思う事も1回や2回でもない。
でもそれでもやっぱり良い音楽(っても抽象的だけど)を
一人でも多くの人に好きになって買ってもらいたい。

そんな自分が今一番欲しかった言葉が詰まっている。この本には。

あともう1箇所だけ引用。

ここにミシマ社の本があるのは、
この書店に、間違いなく、人がいるからだ。
面倒な作業もいとわず、
一冊を理解したうえで置こうと決意した書店員という一人の人間がそこにいる。
その一人の存在が、ミシマ社と読者の方をつないでくれているのだと。

そして人がいるということは、
そこに必ず「手売り」の心意気が宿っているということでもある。
けっして効率的ではないかもしない。
けれど、顔の見える一人にしっかりと届ける。
そうすることで、通常では味わえない「喜び」が生まれる。
読者にも、本屋さんにも、つくり手にも、かかわる人たち全員のあいだに。

(同じく三島邦弘著『計画と無計画のあいだ「自由が丘のほがらかな出版社」の話』河出書房刊)

以上引用。

例えば、今フェイスブックで繋がっている人の一人でもいいから読んでもらえると
本当に嬉しい。
でもできればこの本が少しでも多くの人に届く事を願いつつ。
それでもって、この本は「ここはあえて」お店で買ってくれるとなお嬉しい。
絶対元気が出るはず。
その元気はつかの間かもしれないけど、きっと後から効いてくる。

元気が出るといえばこの本も。

とにかく甲本ヒロトさんのインタビューだけでも読んで欲しい。
古いけど、ゴルゴ松本さんの「命!」を
至近距離で何百発も食らった(そんな経験ないけど)感じ。
とにかくエネルギーが紙とインクから飛び出してくる
本当に素晴らしいインタビューだった。

なんか前と同じオチだけど、
今年も頑張ろう。本当に頑張ろう。


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「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」「詩羽のいる街 」

すこしづつ読み進めて、ってこの本はすごく読みやすいのだけど、さっき読了。
既に色々な所でこの本については言及されているし、
秀逸なものもたくさんあるのでそちらにお任せして、
とても「まっとう」な事を真っすぐに書いた素敵な本だった。

勿論彼らは色々な失敗をしてきているのは有名な話だし、
そう簡単にこうはいかないよな、とやっぱり思いつつも
人の善なる部分を音楽を媒介にして(ここ大事!)
拡張して、それが結果ビジネスに繋がっていくというのは、
青臭いけどやっぱりとても勇気づけられる。

個人的にはネットって本当は、
「正直者がバカを見ない(は大げさでも少なくとも見づらい)」
メディアになりやすいよなって思ってて、
そうなる為のヒントが平易な言葉でたくさん散りばめられているのも素敵だった。

で、この本が気に入ったらこれも読んでみたらいいかも、と。

主人公は「人間ソーシャルメディア」って言ってもいい女の子。
人と人とを「幸福」というキーワードを媒介に繋いでいく展開は、
本当にワクワクさせてくれる。

ただきっとこのヒロインはとても人を選ぶと思う。
ある意味とっても教条的で、更に言ってしまえばとっても説教クサい。
でも、この人と人との繋がり方は、今後絶対に必要になると思うし、
なんだかんだ言って小説としてとても面白いし、
多分ほとんどの人は感動するので、
デッド本を読んで感動した人はパラ読みだけでもして欲しいなあと。
多分そんなに損しないと思います。

でもこういうの読むと、
自分がまだ全然至らないと思わされて、
ちょっと悲しくなる。というか悔しくなる。
でも頑張ろう。今年のおみくじガチで「凶」だったけど。


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